災害の対策というと、まっさきに思い浮かぶのが『食料や水の確保』だと思います。
缶詰や保存用の水を置いているという人も多いでしょう。
その一方でトイレに対しては皆さん、あまりピンと来ていないようです。 被災者の方の意見によると、
災害から3時間以内にトイレに行きたくなったと答えた人が多く、6時間以内に7割の人がトイレを必要としてます。
食べ物を食べたら必ずしなければいけないのが排便。
水道が使えなくなり、配水管が壊れて汚物が流せなくなると、避難所の学校や公民館のトイレはすぐに汚物であふれます。
すると、建物全域に臭いが充満し、館内はどんよりとした空気に覆われます。
汚物をそのままにしているとトイレができないので、流れない汚物をバケツに入れてどこかへ捨てに行かなければいけません。
「トイレの水が断水で流れなくなったら、お風呂の水をためておいて、ジャーっと流してしまおう――そう思っている人も多い様子。
最悪の場合、『トイレの水が逆流してお部屋が汚水で水びだしになってしまう』からです。
3日間下水道の点検の為トイレは使用禁止となります。
災害が起こった場合、地下にある下水道の配管が壊れてしまうことが多いものです。
すると、強制的に水で流しても詰まってしまい、汚水がゴボゴボとトイレから溢れてきてしまうのです。
そのため、災害時には下水道管が破損していないか、ちゃんと水が流れているかどうかを確認してからトイレを使わなくてはいけません。
人は1人当たり糞尿は、大便200g 尿1,5L 合計1,7KGの量を排出します。避難所に4人/世帯で
20世帯3日間トイレが使用できなければ408KGの糞尿が蓄積されます。
仮設トイレの設置に3日ほどかかっています
トイレ難民になると、私たちは外でトイレをするか、仮設トイレの長蛇の列に並ぶかしなければなりません。
とはいえ、仮設トイレがすぐ作られればよいのですが、今までの災害を見てみると、中には一か月近く仮設トイレが設置されなかったこともあります。
仮設トイレ設置には、3日以内34% 4~7日以内17% 7~14日以内28%という日数が必要となります。
やっと仮設トイレが設置されても、男女一緒のトイレを大勢で使用するので、すぐに足元はとびちった尿で水びだしに、そのうえを靴やスリッパで踏んでいくので足元は汚くなってしまいます。
相変わらず水は出ないので、仮設トイレの掃除もできず、しだいに被災者の方はこう思います。
汚物の臭いのこもった館内で、配給の食事もとらずにじっとしている日々……。これでは体調を崩さないほうがおかしい。
災害に遭われた方が「これがあったらよかったのに……!
災害時によく怒る、下痢や腹痛といった症状は体力の低下だけではなく、不衛生なトイレが理由でもあるのです。
そのまま症状が進むと、腎不全や脳浮腫による意識障害やけいれんを引き起こすこともあるので注意が必要です。
NO1はトイレだといいます。災害対策というと、食料や水の確保ばかりに目が行きがちですが、食事をすれば必ず排泄したくなるものです。
簡易トイレを持っていないと他人の目が気になりますし、自分のしたいタイミングで排泄できないというのは大きなストレスを感じるものです。
そのため、災害時の備えをするときには、必ず『簡易トイレ』を用意しましょう。
簡易トイレを使い続けるには、凝固剤とポリ袋が必要になります。
防菌タイプの凝固剤を使用することで、腸菌や黄色ブドウ球菌に感染するリスクをぐっと減らすことができます。
下痢や腹痛といった症状はたいしたことのないように思えますが、体力の低下している災害時には治りにくなっています。
そのまま症状が進むと、腎不全や脳浮腫による意識障害やけいれんを引き起こすこともあるので注意が必要です。
また、避難所などの人の多いところで簡易トイレを使用する場合、臭いも気になるもの。より快適に用を足すためにも防臭タイプのものだとさらによいと思います。
被災現場ではちょっとした病気も命とり。最悪の状況を防ぐためにも、個人個人で簡易トイレを用意しておきたいものです。
ちなみに、携帯トイレと簡易トイレの大きな違いは『便器があるかどうか』ということです。
そう聞くと、「ポリ袋のおしっこ・うんち(=し尿)はどうなるの?」と、気になるかたもいらっしゃるでしょう。
大前提として、まずは次のことを知っておきましょう。
- 災害時には、し尿ゴミ(おしっこ・うんち)は市町村ごとの決まりに沿って処理される。
- 収集が始まるまで、し尿ゴミは家で保管する。→臭いが気になる場合は防臭袋で保管するとよい。
- し尿は水気があり、そのままではゴミとして出せない。用を足すたびに水気を吸わせきることが必要 →凝固剤がなくても、細かくちぎった新聞紙、オムツ、尿とりパッド、ペットシートなど、水気 を吸うもので代用できる。
- し尿の水気を吸わせたら、空気を抜いて袋の口を結ぶ。
今回は、簡易トイレと切り離すことのできない『凝固剤』についてまとめてみます。
ジップ付きの服に中身を入れてトイレの個室に置いていても臭いは気にならなかったそうですが、中身を外のごみ箱に捨てた後に、カラになったこの袋を、ジップを開けた状態で玄関に置いておくと、近くを通るだけでものすごい臭いが漂って来ます。
排せつ物の臭いはとにかく強烈なのだそうです。
なんとかトイレに袋に入った排せつ物を流せないか格闘した結果
『排泄物の袋は、新聞紙とビニール袋でさらに厳重にくるんで、可燃ごみの中心に埋めてごみの日に出しましたが、臭いので少し申し訳ない気持ちになりました。
これがものすごく暑い日だったらどうなるんだろう。町内全員の分であったらどうなんだろう。
数日続いたらどうなってしまうんだろう。道路が不通になり、ごみ収集車が遅れる可能性は十分ありますし、大雨が降るのはだいたい暑い夏ですよね。
町内会の役員は役所に依頼してくれており、道路の水抜きも順調に進み、結果的に夕方には役所によって町内に仮設トイレを設置してもらうことができました。
これは「公助」に当たりますが、人々は「自助」として「レジ袋トイレ」の方法を知っておくと安心です。
『防菌タイプ』を見分けるためには成分表に微生物や食添用殺菌剤が入っているかどうかを見るとよいでしょう。また、『消臭タイプ』かどうかは活性炭が入っているかどうかをチェックします。
災害用のトイレの凝固剤はただ便を固めればいいわけではありません。
災害時には病気との戦いなので、腸菌や黄色ブドウ球菌に感染するリスクを減らすためにも、防菌・防臭効果のある凝固剤を選ばなければならないのです。
一度経験しておくと抵抗感がなくなるものです。
避難訓練と同じです。排泄の問題は、食料や水と同じくらい大きいと思ます。
自然災害の多い日本ですから、林間学校で全員が一度やってみてもいいのでは、と思うくらいです。もちろんこれは高速道路の渋滞でトイレに困ったときにも同様に使えます。
災害時のトイレ対策としてやるべき事
- トイレ対策の司令塔を明確にする。
- 避難所に於ける防災トイレ計画を作成する。
- 時間経過に応じて複数の災害用トイレを備える。
- 災害トイレの使用方法、掃除のルールを周知する。
- 避難所のトイレを評価し、改善する体制を構築する。
数時間のおでかけの際に使う時ならばどんな凝固剤を使用してもかまわないと思いますが、災害時には、最低でも防菌効果のある物にしましょう。
『防菌タイプ』『消臭タイプ』とパッケージに大きく書かれていなくとも、しっかり排せつ物の菌を分解してくれる凝固剤もあります。それを見分けるためには『成分表』を参考にしましょう。
水を使わないトイレ」に必要なもの(カッコ内は1週間の目安量)
- 下地袋用;45Lのポリ袋 (1枚)→便袋を便器の底にたまっている水で濡らさないようにするためのもの。
- 便袋;45Lのポリ袋 (使用する人数×8枚×7日)→用を足す袋。1回に1枚使用。
- 凝固剤 (使用する人数×8個×7日)→排泄物の水分を吸わせる(固める)もの
このほか、小さくして固くしばった便袋(し尿ゴミ)が収集されるまで保管しておくための消臭袋があると、なおよい。
しかし、この『お水をためておいてジャーっと流す』という方法は絶対におすすめできません。
被災者の意見によると、災害から3時間以内にトイレに行きたくなったと答えた人が多く、もし災害用にトイレを備えなければ、お風呂場に栓をしてトイレをする、などの選択を迫られることになるでしょう。
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